黒部ルート一般開放へ

 富山県のHPが関西電力が保有する黒部ルートの一般開放(観光開発)について、早ければ2024年度にも実現の見通しであることを伝えている。黒部ダムには富山から入って電車~ケーブル~無軌条電車~ロープウエイなどを乗り継いで黒部第4ダムにいたり、そこから電気バスで扇沢へ抜けて信濃大町・長野へ路線バスを乗り継ぐ(逆方向もあり)、いわゆる「立山黒部アルペンルート」が知られている。今年でルート開設50周年を迎える。

 他方、黒部川の電源開発は宇奈月温泉側から奥地へ入るルートで進んでいった。実はこちらの方が歴史があり、戦前に黒部第3ダムまで到達していた。クロヨン建設に当たっては、第3ダム建設用に作られたトンネルなどが延長されている。これらは現在でも維持されており、そのうち宇奈月~欅平間は黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)として観光客を相手に盛業が続いている。しかし、欅平~黒部第4ダム間にも鉄路やトンネルが続いており、通り抜け可能である。但し、関西電力の業務用であり一般開放は行なわれていない。

 数年前から一般開放の方策が探られ、富山県が事業主体となってここを観光ルート化しようという計画が進められていた。しかし、関電の業務用なのでトンネルといっても小さな素掘り、途中の避難路がない、車両や搬器が小型など、鉄道事業法で定められた安全基準をクリアーすることができず、直ぐには一般開放出来ない難題が山積していた。

 目下のところ、ここを通過するには試験的に行なわれている関西電力と富山県が主催する「黒部ルート見学会(抽選制)」に参加する以外に手段はない。私は2015年7月に抽選で当たって行って来たが、各地の乗り歩きとは比べ物にならないくらい魅力あふれるルートであった。

 黒部ルート上部軌道1.jpg
 黒部ルート見学会での上部軌道(2015.7.15撮影)。こんな軌道が黒部の山奥の地下に、しかも戦前には完成していたとは信じられない。

 富山県のHPなどを見ると、鉄道会社(JR東、西、峡谷鉄道、富山地鉄)、旅行会社、地元の観光業者、行政などが様々な観点から検討していることが解る。50年前のアルペンルート開設時にも問題となったが、人が増えることによる自然破壊などをどうやって防ぐのか、「黒部ルート」の一般開放(=観光化)には、この50年の経験知が生かされることが望まれる。なお、富山県ではこの黒部ルートの愛称を募集している。締切は10月末日まで。

 私が2015年7月に体験した黒部ルート見学会は、黒部第4ダム→欅平間の見学会だった(反対方向もあり)。全員がヘルメット着用で、最初は関電トンネルをバスで通過した。その後、地下のインクライン(斜坑ケーブル)で20分ほど下り、地下にあるクロヨン発電所を見学した。ガラス張りの発電所は何だかSF映画に出てくるような光景だった。会議室で各自持参した昼食を食べたが、会社が用意してくださった熱いほうじ茶の味が忘れられない。

 発電所の次は上部軌道と呼ばれる密封式客車で30分ほど素掘りのトンネルを進む。「高熱隧道」と呼ばれ、吉村昭氏の小説の舞台となったところである。工事中は140度の高熱が吹き荒れていたそうだ。次は竪坑エレベータで、何と200m下がる。エレベータの規模が桁違いで、軌道車両を載せて上下することが出来る。最後は架線式の電気機関車で推進された客車で終点の欅平に至る。

 何とも圧巻の鉄道施設である。欅平からは既存の黒部峡谷鉄道に連絡している。ここから宇奈月温泉を経由して地鉄や北陸新幹線へ乗り継いでゆける。アルペンルート以上に面白いルートだと思う。
 

*黒部ルート見学会(私のHP)
*立山黒部アルペンルートの旅(私のHP) 
*鉄道COMのHP
*黒部ルート一般開放・旅行商品化準備会議
*黒部ルート愛称募集のお知らせ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント