平成本とお召し列車

 改元を前に、元号ブームが吹き荒れている。そんな中、きちんとした学術書や一般教養書に目を通してみたが、鉄道ファンであり、皇室と鉄道に関して業績のある原武史著「平成の終焉」はなかなか読みごたえのある内容だった。特に巻末に収められている国内行啓の一覧表は、地方紙に載った記事から抜粋してまとめ上げたものだが、資料的価値があるといえる。

 私の個人的興味なのだが、高校生のころ下校時に友達と一緒にみた房総東線のDC急行「そと房」号のことを思い出した。原年表によれは、「1970.3.9~10、千葉県、家族旅行」のことであった。
 
 その日、総武線平井駅のホームに上がると警察官でいっぱいだった。駅近くの小松川警察署から大動員されたものである。前日に皇太子一家が家族で房総半島に出かけたことは新聞で読んでいた。これはきっと帰京する列車が通過するに違いないと踏んで、友人のF君と一緒に見学することにした。30分余も待っただろうか、キハ28系の急行「そと房」号両国行きがヘッドライトをつけて通過していった。当時の列車は昼間には点灯しないのが原則だったので、特別な列車であると直感した。
 
 ホームで通過してゆく急行列車を観察していると、この列車には通常はグリーン車の連結はないのに、この日に限って3両目にキロ28が連結されていた。そして車内の中央付近の座席が向き合いに反転されて皇太子夫妻の姿が見えた。まだ幼児だった秋篠宮が元気よく通路を飛び跳ねているのが見えた。

 通過してしまえば何のことはないのだが、お召し列車並みの警備と車両に興奮したものである。その時のことが何となく気になっていたが、この本で「1970年3月10日」であると確認できた。かつて房総の鉄道の近代化に関して鉄道ピクトリアル誌に連載記事を載せたが(299~300号)、写真とデータの裏づけがなかったので、このお召し?DC急行のことは書けなかった。

 なお、当時の総武線はまだ複々線化される前で(完成は1972年)、同一線路を全ての列車が使っていた。

画像
 原武史「平成の終焉」岩波新書(2019.3.20刊)、右は保阪正康「平成史」平凡社新書(2019.3.15刊)


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