鉄道ジャーナル2021年10月号

 鉄道ジャーナル10月号は、「九州の気がかり」と称する特集が組まれている。西九州新幹線・武雄温泉-長崎間の開業が来年秋に迫ったが、新鳥栖から武雄温泉までの佐賀県内の開業は見通しがたっていない。他方、コロナ禍で在来線を含めたJR九州の経営状況、関東・関西圏から唯一離れた大手私鉄・西日本鉄道(西鉄)の模索など、なかなか読ませる内容となっている。福岡出身の私にとって興味深い記事が多かった。

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 鉄道ジャーナル2021年10月号は、九州の鉄道の現状などのレポートが掲載されている。

 見開きに長崎駅の建設中の新幹線ホームと在来線が登場する。このようなレイアウトになってからの長崎はまだ訪問していない。新幹線駅は九州新幹線・鹿児島中央駅のような雰囲気だ。在来線ともども海側に大きく移動している。駅前広場から長崎電気軌道(路面電車)を引き込む計画は、長崎電軌が実施しないと決めたそうで行なわれていない。また、並行在来線の開業後の姿も紹介されているが、長崎本線の肥前浜-諫早間は電化設備が撤去されるとのこと。南九州や北陸地方ではJR貨物のために電化設備は維持されているが、長崎本線ではついに撤去という策が採られることになった。

 西鉄に関する記述は興味を惹いた。特に西鉄大牟田線が大打撃を被って昼間時は「特急」の運行を取りやめてしまった意味は大きい。コロナ禍というより、産業構造の変革で久留米以南の都市の衰退が原因だろう。大牟田市の人口は全盛期の20万人から11万人にまで減ってしまっている。JR線もいまは博多直通列車が運転されず、熊本ローカルの2連のワンマン運転で事足りる状況とのこと。

 北九州や筑豊地域からの西鉄バスの撤退も驚くべき現実である。それに近年のJR災害不通線区はほとんど復旧されることなく、バス代行に代わってしまっている。また、島原鉄道の現状のレポートもあった。今後どうなってゆくのだろうか。

*鉄道ジャーナル社のHP


 国鉄の分割民営化にあたって発足したJR6社のうち、三島会社と呼ばれる北海道、四国、九州は元々経営基盤がないことが指摘されていた。九州は何とか株式上場を果たしたが、北海道と四国はこのままでは消えてなくなる。何とかするのは今のうちである。間違った新自由主義が席巻した時代が去り、いまは新しい「公共」が求められる時代となった。どうするのかはJRや民間会社の問題ではなく、市民が主体的に決めることであろう。

*斉藤幸平「人新世の資本論」(集英社新書)

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