札幌市電と西鉄北九州線(RAILFAN786号)

 鉄道友の会の機関誌RAILFAN 2021年10月号(786号)が送られてきた。本号では柚原誠氏の「札幌市電と西鉄北九州線」と題する巻頭記事が特に目をひいた。柚原さんは名鉄(名古屋鉄道)の鉄道本部長→副社長まで務められた技術屋さんで、現在は鉄道友の会の副会長。これまでに路面電車の存続の成否は、運賃収受方式にあると機会あるごとに訴えてこられていた。氏はせっかく路面電車に新機軸を導入しても、乗降に時間がかかり、目的地の電停に着いても運賃支払いのために直ぐに下車できず、かなりのロスが発生していることの問題点を指摘されてきた。

柚原さん記事.jpg
 鉄道友の会機関誌786号(2921.10月号)

 その代表例として札幌市電と西鉄北九州線の連接車を取り上げられる。1960年代に事業者が画期的車両を導入しても、結局それが生かされず、一番のメインルートだった北二四条⇒札幌駅間は地下鉄(ゴムタイヤ方式)に置き換わったこと。存続区間では連接車や連結車は廃車されて、輸送量の小さな単行車に置き換わったこと。他方、西鉄北九州線でも砂津-小倉駅前-幸町-中央町ー黒崎駅前-筑豊電鉄線の一番の稠密区間に2連接車や3連接車まで投入しながら、結局は路面電車自体を廃止してしまったこと。などなど・・・。

 運賃収受を乗務員(運転士、車掌)による確認を必ず実施する日本のやり方は諸外国では例外的存在である。そうではなく、どのドアーからも乗車でき、どのドアーからも降車できるようにするには、「信用乗車方式」(=セルフ乗車システム)を採るしかない。若干の取りはぐれが生じるが、それでもよいという割り切りが必要なのだ。いま、路面電車の後釜となって登場したBRT(連接バス)ではこの方式が採られるようになった。もう半世紀早く路面電車でこの方式が採用されていれば日本での路面電車の衰退は起きなかったにちがいない。・・・・・。

 以上、なかなかの慧眼だと思った。いまNHK総合の早朝(BSでは昼間)に「ヨーロッパトラムの旅」というヨーロッパ各都市の路面電車の現状を紹介する番組が放映されている。見ていて感じたことは、電車のスピードが根本的に速いことである。「すいすい走っている」という形容が使われるが、停留所の乗降だけでなく、一般の交通信号で停車する時間が極端に短いのである。

 路面電車を活用するにはこうした交通政策とワンセットにならないと難しい。いくら事業者が画期的で魅力的な車両を導入しても信号待ちを繰り返していては乗客は離れてしまう。その代表例が岐阜の路面電車だろう。岐阜県の交通行政が路面電車を結果的に廃止に追い込んでしまった。残念である。

 これから開業する宇都宮ではどんな交通政策とワンセットで路面電車が登場するのだろうか。興味が持たれる。

西鉄3連接車.jpg
 西鉄の3連接車(筑鉄楠橋車庫にて/1975.3.1写す)

A830 2連停車.jpg
 札幌市電の連接車(西線11条にて/1976.3.30写す)

*宇都宮ライトレールのHP

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